人の背中にシールを貼らないこと

8時に起床。ごみを出しコーヒーを淹れて身支度をする。部屋着をとりあえず入れておく用のかごに、一度着たから入っているのか、たたむのが面倒でそこにとりあえず入れたのかもはや判断のつかない、ずいぶんほったらかしたままだった部屋着をまとめて洗濯する。干し終わるころ胃が気持ち悪く、薬を飲んで1時間ほどソファーで眠る。

昼食に食パンを2枚焼く。食パンからは何の栄養も感じられない。

マニキュアを塗り、使いづらいなあとずっと思っていた家計簿アプリを別のアプリへ変更した。ずっとって具体的にどれくらいだろうと思い記憶を遡ると、大体3年くらい経っていた。新しいアプリに口座やクレジットカードの連携設定をして、現金などを入力する。こういう下準備のようなことをするたびに、牧場物語というゲームのいちばんはじめに大きな石をたたいて割ったり、きりかぶを斧で割ったりして、荒れ放題な土地を地道に拓いていく時間を思い出す。

夕飯に麻婆豆腐を作る。夫が辛い麻婆豆腐が食べたいと言うので、レシピを調べてから買い物へ行く。醬は一通りあるので花椒を買い足す。作り方もレシピに忠実に、まずは花椒と鷹の爪をごま油で炒め、次に各醬、それからひき肉を入れてさらに豆腐、最後に片栗粉といった流れだった。いつだか私がどこかで覚えた作り方とは炒める順番などが違っていて、たまにレシピを確認して調理をすると突然上達したようなおいしい料理が出来ることがある。前回は親子丼がそうだった。夫は辛いものを食べても汗をかかないかしい。

食休みをしていると、「背中のシール、剥がしたの?」と夫に訊かれ、しばらく何のことをいっているのか分からなかった。炊事の前、食器を洗っている間に背中を触られた記憶と、私の背中を写真に撮っていたことを思い出してカメラロールを開くと、夫が箱で買っていつも飲んでいる炭酸水についてくるキャンペーンか何かの小さいシールが私の肩甲骨の真ん中に貼られている写真が保存されていた。夫はゲラゲラと笑うばかりで、腕を伸ばして何とか自分で剥がしてそのままごみ箱に捨てる。

最近は川上弘美の「某」を読んでいる。