かかと

8時から二度寝をして、9時半に起床。コーヒーを淹れて身支度を終わらせる。気圧のせいか顔が重たい。

昼食を食べにバーガーキングへ向かう。隣の席に座った子どもが、母親がレジで注文を済ませるのを待つ間中、蝉の鳴き声のような声を出し続けていた。ポテトが待ち遠しいらしいことも言っている。

図書館で本を借りるにあたって、あらかじめ読みたい本を決めておきたい気持ちになり、POPEYEやBRUTUSなどの愛読書特集号のようなものが欲しくて本屋へ行く。書棚には前年号しかなく、それでもいいと言えばいいんだけれど、何となく最新号が欲しくて購入を見送る。

最近は家でゆっくりする時間を、床に寝転がって過ごしている。そうすると、ソファーからはみ出た夫の足の裏がちょうど視界に入るので、かかとががさがさなのを触ってみたりする。それが煩わしくなったのか、夫はハンズでかかとを削るやすりのようなものを買った。

スーパーで食料品を買い、雨がひどくなる前に帰宅した。

音楽番組を見て、ああでもないこうでもないと言い、夕飯にキーマカレーを作る。

お風呂から上がった夫のかかとは、昼間に買ったやすりをさっそく使って、驚くほどつるつるになっていた。あんまりつるつるなので本当に驚き、今年一番の驚きであることを伝える。

エリンギの是非

目覚まし通り7時に起床。常識的な時間に起きられた一週間だった。身支度を済ませてパソコンを起動する。

決算資料を作ったり横になったりを繰り返す。

夕方、図書館へ行く。18時の図書館に人はまばらで、自分の靴音がよく響く。小川洋子川上弘美か悩み、小川洋子の「不時着する流星たち」を借りた。もう一冊何か、と思ったけれどなかなか指が動かない。本屋のように平積みになっている本はなく、タイトルと背表紙だけで気になる本を見つけるのは結構むずかしい。ただで借りられると思っても、面白くない本は読みたくないという意識が働く。読んでみないと面白いか面白くないかはわからないのに。

夕飯にチルドの餃子を焼き、ねぎとエリンギの味噌汁を作る。エリンギはこの前野菜炒めを作ったときの残りが冷蔵庫にあったものを使う。そもそもエリンギは味噌汁として成立するのか、インターネットで調べるとあまり歓迎されている感じではなかった。皆口を揃えて「エリンギは炒めた方がずっと美味しい」と言っているので、ごま油で炒めてから水を加えてネギと一緒に煮ることにする。出来上がった味噌汁は不味くもなければ、エリンギの旨味が汁に染み出してとても美味しい!という感じでもなければ、エリンギが油を吸って香ばしい!という感じでもなく、これがおそらくインターネットの言う「炒めた方が美味しい」ということだろうなと思った。

借りてきた本を読む。夫は夫で自分の本を読んでいて、面白かった一編をいくつか音読してくれた。夫が読んでいる本は、ごく短い、見た夢の話をそのまま記したような、筋道があったりなかったりする奇譚集で、意味とか学びはまったくない。小説に意味も学びも求めていないので、面白く聞いた。

同姓同名

目覚ましにて7時に起床し、身支度を済ます。

11時15分に予約してある病院へ行くため新宿を目指す。雨が降っていて涼しい風が吹いているにも関わらず、湿度が高いために頭皮、額、首、背中を汗が流れる。すれ違う人たちは涼しそうな顔をして歩いていて、たまにハンカチで額を拭う男性などを見かけると安心した。

早めに病院に着き、そのまま早めに名前を呼ばれ、予約した時間に会計を済ませた。月に一度通う心療内科には、私の勤め先の部長と同じ名前の患者が通っている。診察室や会計の窓口に、部長と同じ名前の患者が呼ばれるのを先月も聞いた。そのことを部長本人に話し、反応に困らせたことがある。たしかに、「病院にあなたと同じ名前の人がいました」と言われたところで、「へえ、そうなんだ」としか言いようがない。

久々に新宿まで出てきたのでukaの新しいマニキュアを買いにNEWoManへ寄りたい気持ちがあったのだけれど、早く帰りたい気持ちが勝りまっすぐ改札へ向かった。

処方箋を出し薬を受け取り、図書館へ向かうと、書架整理のため休館する旨の案内が貼り出されていた。借りていた本を外の返却ボックスへ入れ、今夜読む本がないなと思う。ここから本屋へ戻る気にはなれず、帰宅して力尽きる。

夕飯の買い出しに改めて家を出る。雨が本降りになっていて、気持ちに勢いが必要だった。傘が重たくなるほどざっと降られるとだんだん気分がよくなってきて、私の心って何なんだと思う。スーパーの入り口は1階と2階にそれぞれあって、1階から店に入ってくる人たちはみんな揃って肩がびたびたに濡れていた。傘をたたむタイミングに無防備になるらしい。

ごみ袋を買い忘れる。

お風呂から上がった夫が「いちニョッキ!」と両腕を天井に突き上げる。家には夫と私しかいないので、夫がいちニョッキと声高らかに宣言?した瞬間に私の敗北が確定する。しみじみと馬鹿らしく、ゲラゲラと笑った。

さといも

目覚まし通り7時に起床。身支度をして力尽きる。

昼に、昨日の夕飯に作った豚汁を温め直しながら、さといもを入れ忘れたことに気がついた。

アマゾンプライムデーにて、災害用の簡易トイレを購入する。買わなくては、と思いながら先延ばしにしてきたものを買うためのセール。いざセールページを開くと、何が欲しかったのかわからなくなるので、日頃から欲しいかもしれないと思ったものはメモに残すなり欲しいものリストに登録するなりしないといけない、これも随分前から思ってはいるんだけどなかなか出来ないこと。

滝口悠生「寝相(新潮社)」を読み終わる。あとがきも解説もなく、本を閉じてしばらくぼんやりした。あとがき・解説は、あっても読まないこともあるけれど、それらを読んでいったん冷静になりたいような小説だった。次に、小川洋子川上弘美か、どちらを読もうか、図書館の本棚をうろつき考えようと思う。

寝る前に煙草を吸いにベランダに出ると、月が出ていた。

蟻の行方

7時に目覚ましを止め、8時に起床する。身支度を済ませたところで力尽き、昼までソファーに横になって過ごした。うたた寝からさめると雨が降りだして体も頭も重たいのでテイラックを服用し、ヨーグルトにジャムを混ぜて食べる。

だんだん調子も戻ってきて、パソコンを起動する。めったにやらない伝票入力が、めったにやらない分新鮮に楽しくしばらく集中してキーボードをたたく。仕事は、取りかかりさえすればいつのまにか夢中になる。仕事に関わらず、炊事とか洗い物もそうで、なのに手をつけるまでのあの億劫さは一体何なんだろう。

ベランダで煙草を吸っていると蟻が歩いている。2階なのにどこから来るんだろうなと思いながら観察を続けると、壁を登りはじめた。蟻はまっすぐには進まない。ほぼ平らに見える壁はよく見ると材質による凹凸があって、蟻はその凹凸の谷や山をうまく迂回しながら少しずつ上を目指している。ようやく手すりにたどり着くと、休むことなく外側の壁を下りはじめてすぐに見えなくなった。どこから来るのかはわかったけれど、どこへ行くのかはわからないなと思う。

夕飯を食べ終え、21時少し前に散歩に行こうかと誘われる。部屋着を着替えて玄関を出ると、雨が降りはじめていて、傘をさして歩いている人が通り過ぎるのが見えた。散歩は諦め、また部屋着に着替え直してしばらく本を読む。

滝口悠生の寝相に収められている楽器という話を今は読んでいて、「〜ということがあったけれど、はたして本当にそうだったかはわからない」というような描写が頻繁に出てくる。登場人物が揃って「わからない」と言うので、私はもちろんもっとわからない。忘れかけられている出来事を手渡されても私に出来ることはなにもなく、あるのかないのかはっきりとしない情報ばかりが流れ込んでくるのがとても面白い。

野菜炒めとは

本当に久しぶりに目覚まし通りに起床する。だるさも憂うつもない。身支度を済ませて、始業時間にパソコンを起動した。

昼に冷凍の白米を温めなおし、しゃけフレークとえだまめを混ぜてにぎる。おいしいけれど、食べ終わった後に猛烈な眠気に襲われる。血糖値め、と思いしばらく横になった。

食料品を買いに外へ出ると、比較的涼しい。最近は暑さに敵わず近い方のスーパーにばかり通っていたけれど、久々に遠い方のスーパーへ足を伸ばした。

夕飯は野菜炒めにするつもりで、キャベツ、もやし、エリンギなどをカゴに入れる。

野菜炒めはめったに作らない。同棲をはじめて4年?くらいになるけれど、おそらくはじめて作った。正解と思われる野菜炒めの味を私が知らないからかもしれない。出来上がった野菜炒めを食べても、はたしてこれでよかったのかしらと思うような味だった。決してまずいわけではないのだけれど、「味がきまる」とは言えない野菜炒めだった。

夕飯を済ませると、NHKで土井善治氏がそうめんを茹でている。ずっとしゃべっていて、今後そうめんを茹でるときには、この回を思い出し、ずっとしゃべる土井善治に見守られながらそうめんを茹でることになるかもしれないと思う。

お風呂から上がり、図書館で借りてきた滝口悠生の「寝相」の続きを読む。地続きなのに突拍子がない、みたいな小説でとても面白い。三編収録されているうちのふたつ目の話があと数ページで終わるというところで本を閉じる。15分もあれば読み終えたかもしれないけれど、結末を早く知りたい気持ちよりも、もう少し先延ばしにしたい気持ちがまさった。

なめくじの足取り

先日横須賀で買ったコケサンゴの鉢植えをじっと見つめていると、小さななめくじがもそもそと這っているのを見つけた。水を遣ったので、這い出てきたらしい。割り箸に乗せて、ベランダに放つ。しばらく観察してみると、小さいのにしっかりと縞模様があり、ツノもぴんぴんと立っている。もっと鳥などに見つかりにくい場所にかえしてあげるべきだったかもしれないと考えながら、でも結構しっかりした足(?)取りで何やら思う方向にずりずりと進んで行くので、お達者でと見送った。